第29章 切れた糸の先
3日の日、烏野は予選で敗退してしまっている。
その事を美咲ちゃんは知っているのだろうか。
今、どこで、何をしているのだろうか。
風邪をひいていないだろうか。ちゃんとご飯を食べられているのだろうか。嫌な目にあっていないだろうか。
同じ東京の地にいるのなら、今日試合会場に来ていないだろうか。奇跡的な再会を果たしたあの時みたいに、また神様が奇跡を起こしてはくれないだろうか。
揺れるお守りをぎゅっと握りしめて、俺は会場に足を踏み入れた。
美咲ちゃん。
俺は絶対に君の元に辿り着くから。
たとえ細い糸が切れてしまっても、見えない糸の先を辿って行くから。だからそれまで、どうか元気にしていて欲しい。
手紙も電波も届かない君へ、どうかこの想いが届く日がきますようにと、俺は願わずにはいられなかった。