第15章 応援のカタチ(中編)
そういうの、苦手だって言っていたのに、一生懸命考えていたんだなぁって思ったらなんだかうるっときてしまった。
「いいですね!この横断幕綺麗にして、体育館に掲げたら、きっとみんな士気が上がると思います!」
「そうかな、だといいな…」
「大丈夫ですよ、応援したいって気持ち伝わると思います!」
衛輔くんも言ってた。
どんな形だって、気持ちが大事で、その気持ちが嬉しいんだって。
「…あのっ、私も、考えたんです。考えたというか、アドバイスもらったんですけど…潔子先輩、一緒にストラップ作りませんか?」
「ストラップ?」
「ユニフォーム型のストラップを作って、お守り代わりにみんなに渡したらどうかな、って」
「それ、いいね。じゃあ、今日の昼休みどんな風に作るか話し合いしよっか」
「ありがとうございます!」
意見を採用してもらえたのが嬉しくてそう言うと、潔子先輩はまた美しい笑顔を見せてくれた。
「お礼言うのはこっちの方だよ。部のために色々考えてくれて、ありがとう」
「いえ、私はそんな何も。さっきのアイディアだって、他の人からのアドバイスだし」
「でもそうやって何かしようって行動してくれるところ、素敵だと思う」
そう潔子先輩に褒められて、頬が熱くなった。
先輩よりもこの部との付き合いは短いけれど、自分の気持ちが伝わった気がして嬉しかった。
放課後一緒に横断幕の掃除をする約束をして、私と潔子先輩は体育館へと戻った。
「どうした、清水、黒崎。二人ともなんか嬉しそうな顔してるけど」
顔を見るなり澤村先輩がそう言ってきた。
私と潔子先輩は顔を見合わせて、にこっと微笑み合う。
「ううん、別に」
潔子先輩の言葉とは裏腹に、先輩はどこか嬉しそうな顔を隠せないでいた。
そんな潔子先輩の様子を不思議そうに見つめる澤村先輩だったが、「そうか?」とだけ呟いてそれ以上詮索はしてこなかった。
澤村先輩の解散の声に、散り散りに体育館を後にする部員達の背中を見送りながら、私と潔子先輩はもう一度顔を見合わせて微笑み合った。
彼らに送るエールが、届けばいいなと思いながら。