第15章 応援のカタチ(中編)
じゃあなんで、そんなに旭先輩につっかかるような感じなの?とは聞けなかった。
言外に『それ以上聞くな』と言われているような空気を感じて、言葉を飲み込んだ。
衛輔くんはまた咳ばらいを一つして、何事もなかったかのように話を続けた。
『ま、応援の形は何にしてもさ。やっぱりその気持ちが大事だと俺は思うぜ。美咲ちゃんが一生懸命烏野の奴らを思ってやったことなら、喜んでもらえるよ』
「うん、ありがとう」
『……なぁ、ついでにさ。俺にも何か、作ってよ。俺も美咲ちゃんに応援して欲しい』
衛輔くんの言葉に、一瞬悩んだ自分がいた。
さっき旭先輩が渋い顔をしていたのが頭に浮かぶ。
ライバル相手を応援しても、いいのかな。
即答しなかった私に、衛輔くんは言葉を続けた。
『だってさ、ゴミ捨て場の決戦、やるんだったら俺らもインハイ予選勝ち抜かなきゃなんねーんだし』
「あ、そうだよね!」
『そうそう。…インハイで対決することになったら、そりゃ烏野しか応援できないかもだけど。今は、まだいいだろ?俺のこと応援したってさ』
私の考えを見透かすかのような衛輔くんの言葉に、私は小さく「そうだね」と答えた。
何か小物を作って送ることを約束し、衛輔くんとの通話を終了する。
「小物かぁ……」
ひとり呟いて、何を作ろうかと思いを巡らせた。
しかしそこで、ぐぅ、と大きくお腹が鳴って空腹の限界を感じた。
ひとまず夕飯をとることにして、私は自室を出た。