第15章 応援のカタチ(中編)
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帰宅してすぐに自室へと引きこもる。
空腹を感じてはいたけれど、衛輔くんからの報告を先に聞きたくて、ぐぅと鳴るお腹をさすりながら衛輔くんに電話をかけた。
ワンコールもしないうちに衛輔くんと電話が繋がった。
携帯の前でずっと待っていたのかな。
想像してちょっと可愛いな、なんて思ってしまった。
「遅くなってごめんね」
『全然。もう家?』
「うん。自分の部屋」
『飯は?』
「まだ。でも先に衛輔くんの話が聞きたくて」
『…そ、そっか』
どこか照れくさそうな衛輔くんの声が聞こえた。
こほん、と一つ咳ばらいをして、衛輔くんが話を始める。
『昨日の話だけどさ』
「うん」
『ミサンガとかお守りとか、手作りの小物がいいんじゃないかって部の奴らが言ってた』
「なるほどねぇ~小物かぁ……ストラップとかキーホルダーにしたら鞄にも付けられるし、いいかも」
『まぁ中にはそういうの、重いって嫌がるヤツもいるかもしれないけど、烏野の奴らなら喜ぶんじゃないか』
「そうだねぇ…うん、きっと喜んでくれると思う」
言いながら、田中先輩と西谷先輩がハイテンションで絶叫している姿が目に浮かんだ。
潔子先輩から手渡しされようものなら、五体投地で潔子先輩にひれ伏してむせび泣いてしまうかもしれない…。
『特にあのリベロとWSの坊主は大喜びしそうな感じすんな』
「あはは、私も同じこと考えてた」
まだ一度しか田中先輩と西谷先輩に会ったことのない衛輔くんがそう言ってしまうくらい、あの二人は分かりやすい性格をしているのかな。
『……それに、烏野のエースも喜ぶんじゃないか』
それまで明るかった衛輔くんの声がまたさっきみたいに急に低く暗くなって、私の笑い声も引っ込んでしまった。
なんで、旭先輩の話になると、衛輔くんはこうなってしまうんだろう。
「衛輔くん、旭先輩のこと、嫌いなの?」
思わず口からそんな言葉が飛び出ていた。
ライバルだから、仲良くするのは難しいのかもしれないけれど、試合でもないのに普段からそんなに敵視しなくてもいいんじゃないかって思ってしまう。
『…いや、別に。嫌いって言えるほどソイツの事よく知らねぇし』
「そっか…」