• テキストサイズ

【HQ】恋愛クロニクル【東峰旭】

第15章 応援のカタチ(中編)


  それはその通りなんだけれど。
何か棘があるように思えてならなかった。
いつもの旭先輩だったら「別にいいんじゃないか」で終わりそうなのに。

 なんでわざわざ「黒崎が試合に出て対戦するわけじゃない」なんて言うんだろう。
それも、どこか突き放したような言い方で。

 旭先輩のその言葉に、私はどこか自分が除け者にされた気分になった。
マネージャーだから、選手と一緒にコートの中で戦うことはもちろん出来ないけれど、私も烏野バレー部の一員なのにな、と思う。

 私と旭先輩との間の微妙な空間に、見えない線引きをされてしまった気がする。
直接的ではなくても、私も一緒に戦う仲間だと、思っていたんだけどな。
旭先輩の中では、そうでは無かったのかな。

 烏野の一員に加わったのも、つい最近のことだしなぁ…。
バレー部に入って、もうすぐ二ヶ月ってところ。
そのくらいの付き合いじゃ、まだまだ浅いのかな。

 認められたって、勝手に一人で思い込んじゃってたのかな。
なんだか悲しくなって私はまた俯いてしまった。
ようやく見つけた自分の居場所が、そこにはなかったような気がして、心が暗くなった。

 私達はしばらく無言のまま、二人の足音だけが夜道に響いた。

/ 460ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp