第14章 応援のカタチ(前編)
すぐに既読がついて、画面にびっくり顔のスタンプが表示される。
衛輔くんのスタンプのチョイスはちょっと可愛かったりする。
『全国で会いたいな!』
衛輔くんのメッセージに、画面に向かってこくんと頷く。
私が何か送る前に、画面には衛輔くんが送ってきた可愛らしい犬のスタンプが表示された。
「…あ!そうだ衛輔くんに相談したらいいんだ…!」
帰宅してからもずっと頭の隅にあった、バレー部員達に送るエールの方法。
衛輔くんも、もうすぐインターハイに臨む、バレー部員だ。
であれば、どんな励ましや応援を受けたら嬉しいのか答えてくれるのではないだろうか。
どうもラインのやり取りの間隔からみて、手も空いていそうだ。
一応ラインで電話をしてもいいか断りをいれて衛輔くんの了承を得てから電話をかけた。
「もしもし、衛輔くん?」
『おーっす!どうした、電話したいって。何かあったん?』
「うん、ちょっと聞きたいことがあって」
『えっ、何、急に。なんかドキドキすんだけど』
電話越しの衛輔くんが何にドキドキしているのかはよく分からない。
不思議に思いながらも、私は言葉を続けた。
「あのね、大会前にマネージャーに応援とか励ましてもらうなら、どういうことして欲しい?どういうことが嬉しい?」
『……あ、あー…そういう話か…』
「?」
どこか残念そうな衛輔くんの声に、ますます疑問符が浮かんでくる。
なんで残念そうなんだろう?
『…いや、気にしないで』
「?うん」
気にしないで、という割には衛輔くんの声はやっぱり残念そうで。
けれどその理由はさっぱり分からなかったから、私はただ「うん」と答えるしかなかった。
『あー…えっと。俺は美咲ちゃんに応援されるんだったらなんだって嬉しいけどな』
「もー、それじゃ答えにならないよ」
『ははっ、ごめんごめん。…うーん、うちマネいないからなぁ。そういうの考えたこともなかったわ』
そこまで言って、衛輔くんはうーんと黙り込んでしまった。
しばらく考え込んでいたようだったけれど、これといったものは思いつかなかったらしい。
『ごめん、すぐには思いつかないかも…明日、部の奴らにも聞いてみるわ』
「そっかぁ。うん、じゃあお願いしてもいい?色々意見参考にしたいから」