• テキストサイズ

【HQ】恋愛クロニクル【東峰旭】

第1章 一枚のビラ


そんなことを誰かに言ったのは初めてだった。
心からの賞賛なんて、そうそうあるものじゃない。
それも、こんなに自然に言葉が内から出てくることなんて。
ここが体育館で、周りには他の部員がいることも忘れて、私は旭先輩に賞賛の声を送った。

「えっ、あっ、ありがとう」

「旭さーん照れすぎっすよ」

茶化すように田中先輩が旭先輩に声をかける。
後頭部をかきながら、恥ずかしそうに旭先輩が笑った。
さっきのボールを打った瞬間の気迫は凄まじかった。
なのに、今はこんなに柔らかい雰囲気で、どこかふにゃふにゃした感じがする。

あんな顔をするなんて普段の感じからは全く予想できない。

多分、さっきのあの一瞬で。
私は恋に落ちていたんだと思う。

あのボールが打ち抜いたのは、私の心だった。
/ 460ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp