第1章 ~第一章~二人の日常
――お昼過ぎ―…
朝食を食べそびれた私達はジルのお仕置きが怖いので、バレないようにそっと食堂へと訪れた。
しかしそこに背後から静かな声が響いた。
ジル「……ユーリ、プリンセス。」
「「…っ!!」」
思わず私達はビクッと同時に肩を震わせ、そっと振り返った。
……そこには笑顔のジルがいた。
(ジル、目が笑ってない…絶対に怒ってるよね…怖い…)
そして私は思わずユーリの服の袖をギュッと握った。
ユーリは一瞬はっとした顔をし、私を背中に隠すようにしてジルの前へと出た。
ユーリ「ジル様、すみません…俺が寝坊したせいでユヅキを起こしそびれちゃって…だからユヅキは悪くないんです」
そう言ってユーリはニッコリと笑った。
でも私を庇うために、そんな嘘をつくユーリを放っておけなくて咄嗟に私も口を開いた。
「違います!!ユーリは悪くないんです!!私が、ユーリが起こしに来てくれたのになかなか起きなくて、それで…」
そこまで私が言いかけると、少し眉をよせたジルが溜め息をついた。
ジル「…ユーリとユヅキの言い分はわかりました。とりあえず今はお二人ともお腹が空いているでしょうから昼食にしましょう」
そう言ってジルは食堂から一度出ていこうとしたが、"あぁ、それから…"と付け加えて私達にふっと笑みを浮かべながら呟いた
ジル「…お二人とも朝食を食べそびれた理由をきちんと話さず、嘘をついたので、後でお仕置きとして明後日の分の公務まで全てこなしていただきます」
「え…?」
思わず、ぎくっとしながら首を傾げた私に、ジルは意地悪な笑みを浮かべて私にだけ聞こえるように耳元でそっと囁いた。
ジル「…夫婦仲が良いことのは大変素晴らしいことだとは思いますが、もう少しユーリが手加減するか、貴女が声を我慢しないと……廊下にまで聞こえていますよ」
(…っ!!!?)
それを聞いて、思わず耳まで真っ赤になった私の反応を楽しむようにジルは食堂から出て行くのであった。