第2章 ~第二章~騎士と主
アルバート「…それで、ゼノ様をわざわざ呼び出した用件は?」
ユーリ「ん?用件は特にないよ。ただ俺が久々にゼノ様とお話がしたかっただけだから」
(…本当はゼノ様にお礼を言うためだけど、あとでゼノ様と二人で話す機会があればその時にちゃんと伝えたいから、とりあえず今は黙っておこう)
そう悪びれもせずに話すユーリを見てまたアルバートは眉をよせた。
アルバート「そんな理由ならわざわざゼノ様を呼び出さず、お前がシュタインへ来れば良いだろう。第一、ゼノ様はお忙しい中、わざわざ時間を作って来て下さったのに貴様は遅刻を…」
ユーリ「あー…わかった、わかった!それなら後で聞くから!それよりアル、ちょっと付き合って!」
そう言ってユーリは返事も待たずにアルバートを引きずって客間を出て行こうとする。
客間を出る際に、ユーリは
"ユヅキ、ごめん!また後でね!"
と私の耳元で優しく囁いた。
そのユーリの気遣いが嬉しくて、私はそっと笑みを浮かべながら二人に小さく手を振った。