第2章 オリエンテーション
「にしても、デザート、いっぱい食べれてよかったね」
兎希「まさかの量だったよ……渋谷くんすごい」
「意外と律儀だよね、渋谷くん。」
兎希「う~ん??あれは律儀て言うのかな?wこんだけ取ってきたったぞ、っていう悪戯心にも思えるけど」
「どや?」と言った時の渋谷くんの顔を思い出したのか、兎希が、ぶふ、と笑った。
兎希「まだ同じクラスになって1ヶ月も経ってないけどなんか意外な一面見た気になってる自分も可笑しいかな」
「そうだね。もしかしたら意外な一面って思ってるとこが素の性格かもしんないしね」
それはこの同じクラスになった1年でどう変わっていくのか楽しみなとこだと思う。
章ちゃんと同じクラスになるのは初めてなわたしにも言えることなのかな…?
章ちゃんのこと、知ってるつもりでもまだ知らないこともあるのかな─────────
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「章ちゃんたち、先乗ったみたいだね」
大きな荷物は車内に持ち込めないため、大きな荷物はバスの下にあるスペースに入れるんだけど、クラスの人数分だからということもあり、少し時間がかかる。
みんなでワッー!て入れたらグチャグチャになるから運転手さんと1人手伝いが入って入れるんだけど、並べながら、だからそう簡単にはいかないらしい。
男子はポポン、と先に入れたらしく、姿がない。
兎希「まぁ、席は行きと変わんないし、そんな急がなくてもね」
そんな風に悠長に構えていたら────
「横山くん、手ぇ綺麗じゃない?」
「安田くん、めっちゃ髪綺麗に染まってる!!」
「渋谷くんの二重くっきりでめっちゃ羨ましい!」
行きで座っていた、バスの一番後の5人席に、6人、座っていた。
横山くん、渋谷くん、章ちゃん。
そして他班の女の子3人。
あの子達、兎希が話しかけられたという3人じゃないかな…?
横山くんは結構楽しそうにしてるみたいだけど、他のふたりはそうじゃないらしい。
渋谷くんはしかめっ面だし、章ちゃんも苦笑いしてる。多分あの顔はあまり知らない人には笑顔に見える顔。