第1章 わたしの
それを見て笑ってると、坂本先生がこっちを見た。
え、何?
「緋刈も言ってたのか」
じぃ、と見られる。
えっえっ!
「いや、ぜ、全然」
ぶんぶんぶんと手と首を振って全力で否定する。
ごめん、兎希!
今回は本気で関係なさすぎて!
「じゃあ…兎村は式典が終わったら別棟の一階にある第1会議室集合な」
パッ、と兎希の頭から手をどける坂本先生。
「ええ…何でですか…」
「配るプリントを教室まで運んでもらうわ。多分1人じゃ無理だから渋谷もな。」
坂本先生が渋谷くんを見る。
「っはあ?!何でや!!俺なんも言うとらんわ!」
ガバッ、目を見開いて先生に抗議している。
「はい、先生にタメ口きいた罰な〜」
ひらひら〜と手を振り、列の前に行き、全員並んでるか確認して「行くぞー」と歩いていく坂本先生。
「いや、タメ口は
嵌められたやろ、俺!」
渋谷くんの必死の意見が先生に聞いてもらえることは無かった____________
式典が終わって、教室へ向かう。
途中で横山くんは「ヒナのクラス行ってみるわ」と言ってわたしたちと別れた。
そして兎希と渋谷くんは坂本先生に言われた通り、第1会議室に向かったから、今わたしは章ちゃんと2人で自分たちの教室へと向かっている。
同じように他の新入生たちも自分たちの教室に向かってるからすごく廊下が混雑している。
章ちゃんとはぐれないようにしてはいるけど、結構辛い。
「しーちゃん、端っこの方が歩きやすいから」
そう言ってわたしの袖を引っ張って、廊下の端に案内してくれる。
「ありがとう」
どういたしまして~、と優しく返してくれる章ちゃん。
これだけ人で混雑していれば、わたしが章ちゃんの隣を歩いていても何も言われないで済む。
「しぶやんと兎希ちゃん、2人だけで大丈夫をやろか」
「…そうだね…2人とも人見知りだし…。
兎希は根が真面目だからめんどくさがりながらも先生に言われた通り取りに行くって思ってたけど…渋谷くんも意外に真面目さんなんだね」