第1章 わたしの
担任の先生、
すっごいスタイルいいし声が通るし…
なんかもう、すごいとか小並感漂う感想しか持てない。
式典に入るから、と廊下に並ぶけどその並び方さえ番号順じゃないらしく、どこら辺に並ぼうかとしていると、横山くんが呼んでくれる。
もちろん、渋谷くんも既に横山くんの後ろにいる。
「章ちゃん、先生、凄いね、」
と、後ろを振り向くと、
章ちゃんも自分の後に顔を向けていた。
あれ?と少しだけ、その方向を見るようにすると、
女の子と話してるのが分かった。
「!」
章ちゃんは、モテるから…
すぐ女の子たちが話しかけてくるもんね。
そういう時、隣にいるのが嫌になる。
ただの幼なじみと言えど、「なんでこんな子が隣なの」みたいなこと思われてそうだし。
自分でもかっこよくて可愛い章ちゃんの隣にいるの、ふさわしくないって思う。
そんなこと言ったら兎希に「ふさわしくないって決める権利だれにあんのさ」ってしかめっ面されたけど…。
章ちゃんが気づいて、わたしの方を向く。
「ごめんっ、なんて?」
ニコニコとわたしに向かって微笑んでくれる章ちゃんの後ろから微かに、さっきまで章ちゃんと話してた女の子が睨んでくる。
…うん、
「んーん。何でもない、よ」
不思議そうな顔をしていた章ちゃんから目を逸らす。
「先生すごいな」
2人分前にいる横山くんが後ろを向いて話す。
「むっちゃ声でかいやん」
と、渋谷くん。
「でも鼻の穴おもしろい」
と、兎希。
それな!と横山くんが同意して渋谷くんも頷く。
兎希…
どこ見てたの、と言おうとしたとき…
「誰の鼻の穴がでかい綺麗な丸だって?」
がしり、と兎希の頭が大きな手に掴まれる。
「ちょおあぁっ!」
思わず、変な声が出る兎希。
「や、ちょっ!でかいも綺麗も言ってないですって!」
普段から目立たないようにしてる兎希が珍しく注目を浴びている。
「きみたっ、じゃなくて横山くんも渋谷くんも同意してましたよ!」
ギギギ…と力を込められながらふたりを指さしている。
もちろんふたりは、
「「いや、全然。」」
声を合わせて否定する。
んなっ!と絶望的表情の兎希。