第2章 オリエンテーション
横「あー…それは言い難いなぁ」
安「言われへんなぁ、理由は」
2人に断られて兎希は「は?」という顔をする。
兎希「え??あたし班長として忠告受けたんですけど。それでも?」
横「言われへんわ。流してくれ、そこはもう。」
ああああ、兎希の顔が!頭が!どんどん傾いてく!
というか言えないってどういうこと?
バシャバシャしてただけなら普通に「水飛ばしあってたら見つかってもうた〜」って言いそうだよね。
それじゃないってこと??
章ちゃんに聞きたいけど、その章ちゃんさえも「言えない」と言ってるし……渋谷くんが何も言わないのが気になる。
暴れたのが主に章ちゃん以外。ということは渋谷くんと横山くんでしょ?
横山くんと渋谷くんだとして、しかも横山くんは「言われへん」って言ってるのに対して渋谷くんが無言。一番、喋りたくないってことなんじゃ……?
悶々と考えているわたしに対して兎希は「じゃあもう流すけど…もうあのお風呂に入ることはないんだし。」と締めくくった。その顔は納得いってなさそうだったけど。
「じゃあもうお開きでいいんじゃないですか、班長」
兎希「だね。2日間、こっちの部屋に来てくれてありがとうございました!ふっつーーーうに部屋に戻ってね?」
横「はーーい。ふっつーーーうに戻りまーす」
ほなな〜、と横山くんを先頭に3人が出ていった。
「お疲れ様」
兎希「どーも…なんで言いたくないのかわかんないけど、ただバシャバシャしてただけなら言うよね」
「あ、兎希もそう思った?」
兎希「うん」
「渋谷くんが怪しいよね」
兎希「んー…やっぱそうだよね〜。一人だけ無言だったもんね。茶化しもせず。」
兎希も同じ考えだったようで、ベッドの上で腕を組む。
ベッドの上に正座、腕組みがなんか面白くてつい写真を撮った。
兎希「んぇっ?!!」
カシャ、というシャッター音に兎希が目を瞬かせた。
兎希「なんで写真?!」
「なんか面白かったから」
兎希「消してよー」
「思い出思い出」
そういえばバスの中で写真撮ってなかった?じゃあそのお返しね、と返すと決まり悪そうな顔をした。