第2章 オリエンテーション
三「痛いよぉ坂本くん」
叩かれたところをさすりながら(よく手が届いたなぁ)叩いた本人の坂本先生を振り返った。
坂「痛いわけないだろ~?」
三宅先生と坂本先生のやり取りは見てて微笑ましくなる。お兄ちゃんと弟のような、古くからの友人のような。
安「先生達って仲ええですね」
坂「そうか~?」
三「そうか〜?ってひどいなぁ、坂本くん。仲良しじゃん、俺ら。まぁ一番仲いいのは剛とだけどねえー!」
坂「岡田も入れてやれよ」
先生達のやり取りはやっぱり仲いいんだな、っていうのが溢れてる気がする。
三「てか言ってなかったっけ?」
「へ?」
安「何を??」
三「俺ら、ここ出身だよ。みんなの先輩です!」
ふふん、と腰に手を当て胸を張る三宅先生。
坂「先輩だからって威張るなよwあ、あと健とか剛とか、岡田は俺の元教え子なんだよ。」
「え!」
安「ほんまですか!」
教え子と今一緒に働いてるってすごいなぁ…。どんな感じなんだろ…
三「まっ、そうは言っても坂本くんには何も教わってないけど?」
「「「えっ」」」
三宅先生の言葉にわたしと章ちゃんだけでなく、当の本人の坂本先生まで悲しそうな顔で反応した。
三「わはははっ!嘘だよ!嘘!じょーだん!」
坂「な、なんだよ〜~」
ほんとに仲良いなぁ…
わたしは、先生達くらいの歳になった時、章ちゃんとはどんな関係になってるんだろう?こんな風に冗談を言い合ったりしてるのかな?それとも、告白、が、上手くいって……?
____なんて。
自惚れたことを。
三「そろそろもう準備も出来たことだし、みんなを呼ぼっか!」
三宅先生の言葉に、数人の女の子が「えー!先生の学生時代の話とか聞きたーい!」と言うと、三宅先生と坂本先生が揃って、「はいはい、また今度ね〜〜今はお開き〜」と軽く爽やかにかわしていた。
安「すごいなぁ、先生ら。」
自分たちの席で兎希達を待っている間、章ちゃんが切り出した。
「ね。もう何年の付き合いなんだろね~」
安「でも何年って言うたらおれらも長いやんな~」
「もうずっと一緒やで」と章ちゃんが笑った。
「うん」
_____そうだよ、章ちゃん。ずっと一緒だからこそ、わたし、言えずにいるんだよ…
頷いた時、わたしはちゃんと笑えてたかな?