第1章 わたしの
横山くんが「すばる」くんを紹介する。
へぇ、珍しい名前だなぁ…
しかも、かっこいい。
これは…兎希もかっこいいって思ってるだろうなぁ…綺麗な線の顔立ち。
渋谷くんと兎希の人見知り同士の短い挨拶に爆笑する横山くん。
…でも横山くんも人見知りって程じゃないけど初めてあった人には緊張して顎、しゃくれるよね…!
そういえば、横山くんと渋谷くん、元から知り合いっぽいけど、同じ中学ではないなぁって思っていると、どうやら校区は違えど、お家が近所とのこと。
そうなのか〜と納得していると、横から、「おれは知ってる〜」と明るい声が聞こえた。
肘をついて手に顎を載せている章ちゃん。
可愛いなぁ、天使だなぁ…
「章ちゃんも?」
「よこちょの紹介でお友達なってん〜しぶやんもギターすんねんで〜」
なるほど…そういう繋がりが…知らなかった…。
幼なじみだから、章ちゃんのことは何でも知ってるつもりでいたのになぁ…。
渋谷くんは見知らぬ兎希が横にいるということもあってか(わたしのこともかな?)、短く言葉を返す。
2人の挨拶はすごくぎこちないけど、後ろから見ていたわたしには、何かが始まりそうな予感がしていた。
新しい友達ができたと横山くんに叩かれて、
「痛いわあほ。ヒナか」と言う渋谷くん。
…あれ?
ヒナって…
「ヒナってあの、ゴリラ村上?」
兎希がわたしも考えていた人物の名前を出すと、大人しかった渋谷くんがぶはっ、と噴き出した。
横山くんも笑ってる。
「おまっwゴリラ村上てwww」
横山くんが顔を真っ赤にして笑う。
「クリス松村的な言い方やな!」
渋谷くんがさっきまでは見せなかった、目尻にシワができるほど笑う。
と、
兎希の動きが止まる。
渋谷くんを見て。
あぁ、この子、
もしかしたら、ようやく、本当に好きになった人が見つかったかもしれない_______