第1章 わたしの
なんと、運良く、兎希とも章ちゃんとも同じクラスになれた!
「あたし、今年の運使い果たしたかも知んない。」
教室に向かってる途中で兎希が言った。
全くもって同意見!
中学までは兎希とは同じクラスになったことはあっても、なかなか章ちゃんと同じクラスになれなかった。
家が近い人同士は同じクラスにならないっていう噂があったから、もしかしたらそのせいだったのかもしれない。
だから章ちゃんと同じクラスだなんて何年ぶりだろう、と心が弾む。
話しながら歩いているとすぐに教室についた。
「あー階段きつかった」
兎希が息を切らし気味に言う。
「一つ分しか上がってへんで」
章ちゃんのスキのないツッコミ。
時々見せる、ちょっと腹黒なとこ。
兎希はわたしより運動神経がいいのに、こういう普段のときは、すごく疲れやすい。
無気力系女子なのかな。
教室に入ると、既にちらほらと喋ってるグループが出来ている。
きっと同中同士なのかも。
席はどうなってるのか気になって黒板を見てみると、「空いてる席に座ってください」と書かれていた。
「自由席…かな?」
「ゆっるいね…」
兎希がわたしにつられて黒板を見る。
と、黒板を見ていたわたしたちの後ろから、兎希を呼ぶ声が聞こえた。
廊下側の列の前から4番目の席からだった。
あれは、横山くんだ。
ひょこ、と章ちゃんが横から顔を出す。
「やっぱしよこちょおった」
「知ってたの?」
クラス分けの名簿では気づかなかった。
きみた、と兎希も驚いてるので兎希も知らなかったみたい。
「おん、その後ろの子も知ってんで」
んふふ〜と嬉しそうに章ちゃんが笑う。
パタパタとその子の後ろの席へ向かうから、わたしもそのあとを同じようについていき、章ちゃんの隣に当たる席に座った。
横山くんと話していた兎希がちょうど、こっちを見る。
うん?
何かな
兎村も座れば?と言われて、兎希が横山くんの隣に当たる席を見るけど、そこはもう埋まっていた。
「すばるの横でええやん。」
と言われて兎希が誰のことか分からず、キョロキョロし出す。
多分、横山くんの後ろの席の子だと思うよ…!