第2章 オリエンテーション
兎希が下りでヒィヒィ言いながらもなんとかゴールしたわたしたちの着順はまぁまぁ、と言ったところだった。
早くもないし遅くもないし。
ビビりながら下りてきた兎希は「もう足がガクガク…」と言って膝に手をついていた。
それに渋谷くんが笑いをこらえながら「お疲れ様」って言っていた。
兎希もそれに気づいたらしいけど、笑ってないと渋谷くんは否定する。
「笑ってたやんw隠す意味なんなん?w」と章ちゃんも見てたらしく、突っ込んだ。
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初日はウォークラリーで汗かいたりしてるだろうという先生達の計らいで先にお風呂に入ってきていいとのことで……夕飯の前にお風呂に入れる。
兎希「でもなんで個室のお風呂使わせてくれないのかなぁ」
兎希がぶぅ、と口を尖らせながら言う。
「うーん……人数確認とか…入ってない人いないかわかるようにするため?ちゃんと確認してないと勝手な行動する人増えるとか…」
兎希「かなぁ?」
わたしにもよくわからないけど。
でもわたしとしても個室のお風呂を使わせて欲しかった。
あまり人に自分の体見られたくないもん。
よし、準備も出来たことだし……
「そろそろ行こっか?」
兎希「うん、行こ~」
持ってきたシャンプーなどのお風呂グッズを抱えて問題の(?)大浴場に向かった。
兎希「全クラスだから絶対ゆっくり入れないよね」
「ね。シャワーとかすぐには空かなさそうじゃない?」
安「あ、しーちゃん!」
階段を降りる途中で章ちゃんが後ろから来た。
兎希「あたしもいるんだけど」
呆れたような顔で兎希が言うと、その後からまた声が増えた。
横「それ言うたら俺らもやで」
渋「ようこんなごちゃごちゃしたとこで見つけたな」
安「しーちゃんならどこでも見つけれるわあ」
んははっ、と肩をすくめて笑う章ちゃんにわたしの心は問答無用で高鳴る。
「わ、わたしも章ちゃんなら見つけれるよ!」
シン………
(っ!!や、やばい!変な空気にしちゃった…!!)
お返しのつもりで言った言葉がこんな空気になるなんて!!