第2章 オリエンテーション
『これから1年間というだけでなく、同じ高校で過ごしていく仲間なんだからお互いを知ろう』的な意味もあるこのオリエンテーション。
この中から抜けてしまえば、孤立を味わうようで怖い。
兎希もいるんだから、そんなことないと思う。
でももしかしたら他の人は違う見方をするかもしれない。
そう考えずには居られない。
きっとこのオリエンテーションだってきつくても思い出になる。
みんなでこの思い出を語る時、わたしだけ語れないのはつらい。
だから、頑張りたい。
みんなと一緒に。
言わなくてもきっとそういうこと分かってくれてるんだと思う。
横山くんや渋谷くんは分からないけど、兎希と章ちゃんはわかってくれてると思う。
「〜♪」
きつい登りも終え、
問題も着実に解いていく中。
わたしの得意な下りになった。
「しーちゃん~!」
登りと違い、スイスイと進むわたしを章ちゃんが追いかけてくる。
「ほんま下りは早いわあ」
ははは、と章ちゃんが笑う。
「だって楽だもん」
「あ、せや、覚えとる?」
「?何を??」
隣に並ぶ章ちゃんを見ると、
木々の隙間から漏れる陽の光に目を細めていた。
「ずっと前のこと。
しーちゃんのおとんおかんとおれと。
山登りした時のこと。」
「あっ、あったね」
ほんとに、「何歳の時だったかな」って思うくらい、もう随分前のことに感じる。