第2章 オリエンテーション
安「ほあぁ〜~〜危なかったあ…」
見ると、二の腕のあたりを章ちゃんに掴まれていた。
章ちゃんが掴んでくれたおかげで滑り転ばずに済んだみたい。
危機に面したせいか、胸がドキドキした。
「あぁ…ごめん…」
申し訳なさで謝ると、章ちゃんは肩を竦めた。
安「ありがとうって言われた方が嬉しいねやけどなあ?」
そうやって笑いかけられると、
今度は違う意味でドキドキしてしまう。
安「やっぱ引っ張ってったる」
そう言って今度は手首を掴み、章ちゃんが進んでいく。
…手ではなく手首というところが気にならないではないけれど…。
安「今どこら辺やろな〜?」
「どこら辺だろうねー?早く下りにならないかな…」
息を切らしながらも章ちゃんと会話する。
引っ張ってくれてるからあまりきつくは感じないけど、こればっかりはどうしようもない。
安「しーちゃんは下りの方が得意やもんな!」
「うん。下りは流れに身を任せるだけだからね…あまり力がいらないもの」
下りは力を込める必要が無く、ちょっと足を前に出しくだけで流れで下りていける。
「待っててくれてるかなあ?」
安「待ってくれてるやろ〜」
「でも兎希って山登りの時、結構ズンズン行っちゃうんだよね…」
安「あー登るの得意やもんね、兎希ちゃんは。二人とも時々そういう逆なとこ出てくるやんな~?」
あはは、と笑う。