第2章 オリエンテーション
「なんか…問題…すごいね」
思わず口から出た。
横「だいぶオブラートに包んだな」
渋「てか言いようがないな」
兎希「なんて言うんだろ…こう…子供だま__」
「言うたらあかんよ、兎希ちゃん」
しっ!と章ちゃんが唇に人差し指を当てる。
全15問ほどのうち、5問ほど解いてきたのだが、そのどれもが『問題』というには簡単すぎるものや、「え?これ問題に出す?」というようなものが多い。
兎希「校長の名前はさすがにわかんない」
班長の兎希が、今直面している問題に諦めを言う。
横「流石にってお前…これ多分今んとこいっちゃんわからなあかんやつやで」
兎希「じゃあきみたはわかるわけ??」
横「わからんわ」
兎希「貴様…」
物凄い形相で横山くんのことを見る兎希の顔に気づき、二人のやり取りを笑いをこらえながらも黙っていた渋谷くんが吹き出した。
渋「あかんwその顔www言葉www」
渋谷くんに笑われて、兎希が恥ずかしそうにほっぺたを覆うが、手遅れ。
というか、渋谷くんって意外とよく笑う。
失礼かもしれないけど、どっちかっていうと普段怖い顔をしているから、クールというか、人に馴染まないタイプの人なのかなって思っていた。
校長先生の名前はそのうち思い出すだろう、ということで解くのは後回しにして、次の問題へと歩き出した。
山登りなんて久しぶりにしたし、登りよりも下りの方が好きで、みんなより少し遅れてついていく。
「引っ張ろか?」
それでも、章ちゃんが離れずに気にかけてくれるから、はぐれることもない。
申し訳なさと同時に、やっぱり嬉しさと感謝が込み上げる。
「ううん、だいじょ_____っうわ!」
「!」
足をついた場所がぬかるんでいたようでバランスを崩した。
尻餅でもついてしまうかと思って目を閉じたけど、想像していた衝撃はなく、腕に少しだけ予想外の痛みを感じた。