第2章 オリエンテーション
「じゃあ行ってくるね」
「いってら~」
図書委員の雑用として、食堂の準備のため兎希を残し部屋を出た。
男子部屋と女子部屋の合流地点に着くと、ちょうど章ちゃんも出てきた頃だった。
「ちょうどぴったしやね」
ニコッと笑う章ちゃんの笑い顔が、少しだけいつもと違うような気がした。
…何かあったのかな…?
男子部屋で喧嘩でもしたのかな……な、訳ないか。
「行こか〜」
そう言って歩き出すから、追求はせずについて歩いた。
食堂につくと、何クラスかは既にいた。
図書委員の仕事ではあるけど、主に2年生担当の岡田先生はいない。
代わりに三宅先生がいた。
「お、8組も来たね〜!」
そう言ってちゃんと来てるかのチェックであろう、名簿に印をつける先生。
「せんせ~?おれら何したらええん??」
「んーとね〜なんかこう、水がどこにあるかとかそういう把握をすんのと、どの班がどこに座るかを決めて。
お昼はバイキング形式だけど、夜は違うから食堂に入れるクラスの順番も決めとかなきゃいけないんだよね」
「夜はバイキング形式じゃないんですね」
「そゆこと~」
岡田先生に会ったとき、章ちゃんと三宅先生が似てるって言ってたのが分かる気がする。
人懐っこい感じとか、人に好かれるような柔らかい雰囲気とか。
この2人の組み合わせを見ていると和んでしまう。
それはわたしだけが感じているものではないようで、他のクラスの女の子たちもこの2人を見ているのがわかった。
「あ、せや、兎希ちゃん、ちゃんと来れるん?」
「来れるとは思うけど…食堂に入る前に班員がいるかどうかチェックがあるから横山くんと渋谷くんを誘って来るんじゃないかな?」
「なるほど〜」
全クラスの準備が終わり、館内放送が鳴った。