第2章 オリエンテーション
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「…しょうちゃんは…ひまわりと、たいようのこ……」
横で眠るしーちゃんがもごもごと言った。
少しだけ、体を動かしたから、起きたのかと思ったけど、どうやらまだ寝てるようだ。
(…今の、寝言か…)
夢の中でも、おれのことを呼んでくれているのかと思うと、つい、『もしかして』と自惚れてしまう。
けど…
おれがひまわりと太陽の子って何やろ?
ずぅっと前にもそんなことを言われたような気がする。
『章ちゃんはいつもあったかいね』
そう言われたことがある。
どういうことかと聞くと、おれの雰囲気が陽だまりのようだと、居心地がいいのだ、と。
そんなことを言われると、自分がしーちゃんにとって一番特別な存在なんやないかと考えてしまうが、でもそれは逆に、男として見られてないという事にもなりそうで。
居心地がいい、一緒にいて楽。
ドキドキはしないということなのだろうな、と。
おれはしーちゃんに、あたたかさを与えれても、ときめきは与えれないのかと。
今まで、おれ以外の男が寄ってこないようにといろいろ画策したけど、もうそんなことをしない方がいいのかもしれない。
誰にもしーちゃんをとられたくない。
でも、その思いはおれの勝手なもので、ただの幼馴染みがしてはいけないことなのかもしれへん。
しーちゃんの人生を邪魔してるようなものかも。
自分は幼馴染みという枠から出られないでいるというのに、このままずっと同じ状態でしーちゃんの側に居ったら、いつまでもしーちゃんは彼氏もいてへんままで……。
そうやって先のことを考えると、自分の身の振り方が分からんようになる。
……あぁ、ほんま、どないしよっかなあ_______