第2章 オリエンテーション
「多分、わたしと兎希はマネージャー的な位置にいる予定だから余計目立ちたくないのかもね」
あと、委員をしていても一応班の係もしなくてはならない。
まぁ、班長以外の係は大変じゃない。
ということがあった。
「あ~班長やだぁ」
「協力するから」
班長だから多分点呼とかあるだろうなぁ。
*******
「兎希はーんちょ」
そう声をかけると、んもー、と眉を下げて兎希が振り返る。
集合の前の休憩時間に先にトイレに行っとこうと思い、
班の列の一番前に並ぶ兎希に声をかけた。
「トイレ?」
「うん。一緒に行こ?」
「行くー。」
まだ講堂での集合までには時間がある。
「まさかこのあたしが班長になる日が来ようとはねぇ~」
「ふふっ」
「笑い事じゃないから」
「高校生になったら、何か成長できるかなぁ~、とか言ってたじゃない?」
「そうだけどさぁ〜」
兎希は、
誤解されやすいらしくて、本人にそのつもりがなくてもあーだこーだと根拠の無い言いがかかりをつけられたりすることがあった。
それで、友達だと思ってた人からある日突然、距離を置かれたり。
そして彼女自身、めんどくさがりな性格でもあるから、離れていかれても誤解を解くのも向き合うのもめんどくさいと言って追いかけることもしない。
それが余計に相手をいらつかせてしまったらしい。
「まぁまぁ、いろんな人と接するいい機会じゃん」
「でも班で知らないの、渋谷くんだけだよ」
…確かに。
他みんな同じ中学だったしね…
「あっ、でもほら、班長会は知らない人沢山いるじゃん」
「それ言ったら他の係でもそうじゃん!」
「もー…」
確かにそうなんだけど…他の係より、みんなをまとめるリーダーである班長が一番、人にかかわれるというか…何か得るものがありそうな気がするけどなぁ。
「あたしのことはまぁいいけど。雫は?」
「うん?」
「ヤッさんとは委員の雑用で一緒になるでしょ?」
「いや、そうだけど…別に何も…」
「ふぅ~ん…」
ほんとに…今からどう動いたらいいのか…。
幼なじみのままの癖に嫉妬とかはしちゃうんだから…。
うーん…