第1章 わたしの
「良かったね、章ちゃん」
「おんっ!」
ぐー!っとガッツポーズをする章ちゃんを見ているとわたしまで嬉しくなる。
まさか探しに行こう!ってなったその日に見つかるとは。
昨日入学したばかりだというのに。
ほんと、章ちゃんは運がいいというか運を引き寄せるというか……
「お嬢ちゃんは?」
「へ?」
もう早いうちに雇用契約など面倒なものを済ませようと長野さんと章ちゃんが話し出した中、松岡さんがわたしに話しかけてきた。
「えっと…?」
「バイトだよ。しないの??あの坊主と仲良さそうじゃん」
「あ、ぼく、安田って言います〜」
「安田ね。安田と仲良さそうだけど。お嬢ちゃんはバイト、いいの?」
あぁ、なるほど。
「…わたしは…いいです。」
両立、出来そうにないし…。
「しーちゃんは喘息あるからあんまし無理せんでほしいんですよ〜」
「…治まってきてはいるんですけど。」
「なるほどなぁ〜…彼氏としてはそこは心配だよなぁ」
!!!!
「やっ、あの!!」
「ん?」
か、彼氏って!
「…彼氏じゃ、なくて幼なじみです!!」
「あ、そうなの??」
何気聞いていたのか、長野さんが松岡さんと一緒に驚く。
「僕もそう思ってたんだけど…そっかそっか幼なじみか〜」
良いねぇ、幼なじみも…と頷く。
「ふぅ〜ん…??」
?
松岡さんが意味ありげに首をかしげながら章ちゃんを見る。
「お前も頑張んなきゃなあ!」
「うわっ」
バシン!と叩くように章ちゃんの肩を抱く松岡さん。
痛そう。
「あっ、でも軽音部はどうするの、章ちゃん」
「軽音部?」
長野さんが反応した。
……部活生は駄目なのだろうかと焦る。
「何、軽音部入りたいの、安田」
章ちゃんの隣に座って肩を抱いたままの松岡さんが尋ねた。
「はい!でもあるかどうかわかんなくて、今友達がついでにって確かめてくれてると思うんですけど…」
「あるよ」
「え?」
今、即答で何と…?
「あるよって。あそこ。なんか入るだけ入った人が多いらしくて、事実活動してないらしいけど。」
けろりと松岡さんは言った。
「ほんまですか??なら何とか皆に声かけてみよっかなぁ」
「あっ、兎希からもメッセージ来てた」
「兎希って?」
「今言うてた友達です〜」