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青い春【KJ∞】

第1章 わたしの





怪しげな『松岡さん』の後をついていき、
『小路に入ったところにあるような喫茶店』に向かう。




「…大丈夫かな?」
「心配しすぎやって」



前を歩く章ちゃんにコソっと耳打ちすると、そっと安心させるように手を掴んでくれた。






「お〜。ここ、ここ。」


松岡さんが立ち止まり、振り返る。


「、わぁ…」
「ほわぁ!」





確かにそこは理想通りの外観だった。



「外観、イイだろ?」
「「はいっ!」」



わたしたちの反応に機嫌を良くした松岡さんは、キザったらしくその喫茶店の扉を開け恭しく腰を折る。



扉が開いた折にカランカランと控えめな音が鳴った。




「長野くーん」
「いらっしゃい、松岡くん」



店内に入ると落ち着いた雰囲気で、そこだけ別空間のような静けさがあった。



「あれ?松岡くん、捕まらない?」



『長野くん』と呼ばれた人物はカウンターにいた。
お客さん、ではなく、ウェイター服を着ている。



「捕まらねーよ!!前、人を雇ってみようかって言ってただろ?それってまだ有効?」
「うん…そうだね。さすがに1人でやるにはきつい歳になってきたかなって。」




その人はすごく優しく笑っていて、どことなく章ちゃんに雰囲気が似ていた。



「じゃあさ!高校生ってどうよ!しかもピチピチの。」


そう言って松岡さんが章ちゃんの肩をつかみ、グイッと前に押し出した。



「高校生?」
「おう!」
「あの、バイト、したことないんですけどぉ〜…」


章ちゃんが松岡さんと『長野』さんに挟まれて、えへへ、と困ったように笑う。



「うん。良いよ」
「えっ!ほんまですか!」



変わらずにこにことしている。

「なんか…素直そうってのがすごく分かるから。僕的には歓迎だよ」
「だろぉ?素直そうだろー?」
「うんうん。松岡くんに騙されてる感凄いよ」
「なんだと」



やりとりからして大分仲が良いっていうのがわかる2人だなぁ…


「えっ、じゃあ、おっ、ぼ、僕、ここで働かせてもらってええんですか?!」


当人なのに軽く置いてけぼりになりかけていた章ちゃんがわたわたと聞く。


「うん、お願いします」

ぺこ、と軽く会釈して微笑む長野さん。


「よろしくお願いしますっ」

やったー!と章ちゃんが喜ぶ。



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