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青い春【KJ∞】

第1章 わたしの


「はぁ〜高校生だねぇ…」

なんだかソワソワする。

「そうやねぇ。なんかー実感ないね?」
ふふふ、と章ちゃんが笑う。


章ちゃんとは家がご近所さん。
ご近所さんというよりもお隣さん。
もうずっと一緒に過ごしてきている。


そしてわたしの気持ちの変化も。


昔はほんとに、幼なじみの男の子だった。
でもいつの間にか、ただの幼なじみじゃなくなっていた。


「あ、なぁ、髪の毛、後ろの方はねてたりしてへん?」

バスの座席に座っていながら、少し体をひねって、わたしに後ろの方を見せる。

「うん、大丈夫だよ。でもその色で大丈夫なの?」

控えめに言っても、明るい毛色。

「だぁいじょうぶやって〜。校則、緩いて聞いたし」
ほわ、と目を細める。


この、優しい笑い顔とか、本当に



可愛い。


見た目もそうだけど、性格自体可愛い。

誰かに恨まれたり、反感を買うことは絶対ない。
誰にでも優しく、誰の心にも寄り添うような、陽だまりのような人柄。

なのに、時々見せる、男の子らしさ。


さっき座る時だって、窓側を譲ってくれた。


「あ、このバスやから、途中で兎希ちゃんと一緒なるやろ?」

「うん、多分時間も一緒だよ」

兎希はわたしの一番の友達。
(やっぱり友達と幼なじみは違うよね。)
中学入学したその日に、同じクラスになって話しかけてきてくれた。
人懐っこい子なのかな、と思いきや、全くの人見知り。
わたしが話しかけやすそうな雰囲気を出していたらしい。



章ちゃんと話していると、兎希が乗るバス停に着いた。

窓からわたしと章ちゃんの姿を視認したようで、一瞬嬉しそうに笑う。

(兎希、何気わかりやすいんだよね)

よく誤解されてるようだけど。正直すぎるだけだと思う。



「ふたりとも、おはよーさん」
よっ、と兎希が片手を上げる。
章ちゃんがおはよぉ、と応えながら席を立とうとする。その瞬間、兎希がスッ、と手で制し、
「あたしのことは構わず2人で座ってなさいな」と言って後ろの席に座る。

断られた章ちゃんが「ほんなら…」と座り直す。

兎希はわたしの気持ちを知ってるから、と気づくと顔が熱くなる。

今、真っ赤だろうなぁ…!



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