第1章 わたしの
「スーパーとかすごく可愛がられそうだね、章ちゃん」
「えええ」
大体歩いて行ける範囲のコンビニを見て回った後、スーパーも近くにあるということでそっちにも向かう。
「だってコンビニより年齢層が広いじゃない?パートのおばちゃんとかに好かれそう」
「ん〜…確かに近所でもよう飴ちゃんもらうなぁ」
「ね?」
ご近所さんの中でも章ちゃんは人気で、その人気ぶりは老若男女問わず。
やっぱり人って陽だまりが温かくて好きなんだろうなあ。
「あっ、百均とかもあるよ」
食事処や雑貨も入ってるようで、スーパーというより、ちょっとしたデパートみたい。
「ほんまや。入ってみよか」
「うん」
外から見た感じだとあまり活気は感じなかったけど、中に入ってみると意外にそうでもないらしい。
ここら辺にここほど大きいお店がないせいか、人が集まるようで、どのショップも必ず数人はお客さんがいる。
「喫茶店も入ってるよ」
「お腹空いたし…入る?」
「ほんと?」
実はこういう喫茶店とか好きだったりする。
苦いコーヒーはあまり飲めないけど。
「しーちゃん、こういうとこ好きやろ?」
にこっ、と章ちゃんが笑う。
「よくお分かりで」
嬉しくてわたしもつい、笑顔になる。
さすがは章ちゃんと言うべきか。
お店に入ると、二人席に案内された。
「ケーキ、食べよっかな!」
「どれ??」
「これとこれ」
「ふたつ?」
「…悩んでるの」
優柔不断で二つまでに頑張って絞り込んでも、そこからが長い。
「ほんならおれがこっちにして半分あげるからそっちも半分ちょーだい」
「え、でも、」
「くれんのん?」
両肘をついて手に顎を置き、そのまま少しだけ首を傾げる。
…ずるい。
このポーズ、女の子でもイラッとするのに…章ちゃんがしても全然イラッとしないどころかキュン死にしそう。
「…ありがと」
「いいえ〜」
にこにことしながら注文してくれる。
…なんかこう…章ちゃんってほんと…ある意味謎。
いつもぽやぽやしてるっていうか…お花畑みたいなのに頼りがいがあるし…リードが上手い。
そういうところもやっぱり好かれるんだろうな…。
「でもどうせなら裏道とか、小路に入った所にあるよう喫茶店とかがええなぁ」