第1章 わたしの
うん。
確かにわたしはいつもこんな風に会話に参加しない。
まぁ今は兎希も章ちゃんもいるからっていうのも大きいけど。
結構聞く側に徹してたりする。
あまり仲良くない、知らない人がいる所だと特に。
「そうなん?そんな感じするっちゃするけど」
横山くんに聞き返しつつ、わたしの方を見る渋谷くん。
「しーちゃんは控えめやねん。」
にこにこと私を見てくる章ちゃん。
その目が優しくてあったかい気持ちになる。
「今描いてみたら」
と横山くんが提案したところで___
「おーし。じゃあ始めるぞー」
と坂本先生が入ってきた。
「先に委員の方を決めるぞ」
そう言って坂本先生が黒板に委員名を書いていく。
「絶対に一番最初に決めたいのは学級委員だな。ちなみにこれが今日中に決まらなかったら1年間席替えなしな。」
その言葉に「ええええ」とざわつく教室。
うーん…わたしはもうこれでいい。
兎希もいれば章ちゃんもいる。
ついでに横山くんも。
まぁ、横山くんとは兎希ほどは仲良くないけど。
それと渋谷くんについてはまだ知らないことだらけ。
それでも楽しいし孤立しない。
孤立は、
嫌だ。
「よし。目が合った横山な。」
「っはぁああああ????!」
横山くんが立ち上がって全力の「はぁ?!」を言った。
「決定〜。女子は誰かー」
先生は何事も無かったかのように教室を見渡す。
「ちょっ!は??!」
しかし困惑する(抗議する)横山くんを他所に、
クラスの女の子たちは騒ぎ出す。
(「えっ、あの男子?めっちゃ良い!」)
(「横山くんって言うんだね〜、ウチなろうかな」)
という会話があちこちから聞こえてくる。
「じゃあ女子は兎村で!」
周りの女の子の囁きを知ってか知らずか、
横山くんが兎希を指さしながら言う。
「っ?!」
兎希が物凄い驚いている。
「なんやかんや言うてよこちょもモテるからなぁ」
章ちゃんがコソっとこっち側に身を傾ける。
「ね。でも横山くん、鈍いよね」
わたしも少しだけ章ちゃんの方に身を傾ける。
…この距離もドキドキしてる。