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青い春【KJ∞】

第1章 わたしの


「雫も入らない??」


「わたし、絵描くの得意じゃないんだけど…」

嫌いじゃないけど上手くないし…



だよねぇ、と兎希が残念そうに言う。


「てかこの話、明日せえへん?見学も明日からやし。
写真撮らなあかんねん〜」
と章ちゃんが言う。

「あっ!そうだったね!!」


兎希とも章ちゃんとも。あと親とも、入学式の後に撮るって前から約束してたんだった。
兎希も今思い出したようで、ケータイの着信の多さに慌てている。




「俺らは何もあらへんなー」と横山くんが渋谷くんに言い、「そやな」と頷いている。

わたし達3人は急いで荷物をまとめる。



「ほな2人とも、また明日な〜」と章ちゃんに続いて軽く2人に挨拶をして教室を出た。














これでまたいつもの3人になる。
まだざわざわしている中でなんとか親達と合流すると、「すぐ連絡しなさいって言ってたでしょー」と軽く怒られる兎希。


「章ちゃん、雫、」
お母さんに呼ばれる。
「章ちゃんも一緒に入ってねえ」

「えっ!いやいや、せっかくやし3人で!僕が撮りますから!」

章ちゃんがぶんぶんと手を振る。




(一緒に入って欲しいなぁ…)




「ヤッさんも入りなよ!あたしが撮るからさ。
あ、でもその後3人で撮ってもらおうね」


驚いて兎希を見ると、「任せとけっ」という風にウィンクする。
そして「あっ、せっかくだから幼なじみ同士の写真も撮らせてね。思い出思い出〜♪」とズバズバと話を進める。


ほんと…わたしの考えは兎希に筒抜けだなぁ…。


「早く早く」と急かされ、両親と章ちゃんと並ぶ。


ちなみに章ちゃんの両親はなかなかの多忙で家に帰ってこれないことが多い。だから今日も来れていない。



「はい、チーズ」カシャッと音がして、「もういっかーい」とカメラマンさんの真似をしながら兎希が言う。またカシャッと音がする。


「じゃあ次は2人だけね」

すごくわくわくした顔で兎希がカメラを構える。
…嫌な予感がするんだけど…?

二人で並ぶと、案の定、兎希の声が飛んでくる。

「ちょっとおー距離遠いんですけど〜」
ぶうーと口を尖らせる。

…やっぱりね…



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