第1章 わたしの
その音に教室にいた人達全員がびくっとする。
された本人はようやく状況が掴めたのか、わたわたと動き、教室を出て行った___________
び、びっくりしたぁ…。
怒ってるんだろうなってのはなんとなく分かったけど、机を蹴るまでするなんて。
章ちゃんの言ってたのってこういうことだったのかな?
兎希もびっくりしてたみたいで、そろりと静かに座ってた。
それと同時に横山くんが
「なあ、今そこで見覚えある奴にむっちゃぶつかれてんけど」
と言いながら戻ってきた。
章ちゃんが「おかえり〜」と言う。
さっき少しだけ見えた冷たげな章ちゃんはもういないみたい。
「あ、どうやってん。2人とも」
と横山くんが兎希と渋谷くんを見て聞く。
!それはわたしも聞きたいな!
章ちゃんも「どうやったー?」と渋谷くんの顔をのぞき込むように身を乗り出す。
「どうやったて…何が?」
渋谷くんが眉間にシワを寄せる。
「もちろん、話したかどうかやろ。仲良うなれた?」
口の端に笑みを含みながら横山くんが言う。
「…あほか」
ボソッと渋谷くんが小さく言う。
「そないに、」
渋谷くんが何か言おうとしたのと同時に、教室がガタガタと席に着く音でうるさくなる。
坂本先生が入ってきたようだ。
「あーい。席つけ〜。
お、兎村、渋谷、ありがとなー」
教卓に置いてある配布物に気づいてお礼を言った。
それに対して2人は声も発さず、ペコリと小さく応える。
「お前ら、言語を忘れでもしたのかよ」という先生のツッコミにも、「はぁ、」という感じで応える。
先生は「まぁいいや」と言ってHRを始めた。
「で、部活どうする?」
横山くんが言う。
「きみたはやっぱりバスケ?」
「おん。他やろうって思ってんのないし。」
「ようやるわ…」
聞いただけでも疲れるとでも言いたげにため息をつく渋谷くん。
長いHRが終わり、ぱらぱらとクラスメートたちは教室を出ていく。
「兎村は?美術部?」
「えー…うーん…そう、かなぁ」
ぱっ、と兎希がわたしを見る。