第2章 会いたい
昼になり、そないやったらがワゴンを押しながらコビーの側へ歩いてきた。
「コビーさん、退院なんですね!おめでとうございます!」
「あ、ありがとうございます!」
コビーがトレーに目をやると、苺をのせた小さなケーキがある。
「あれ、コビーだけ特別かよ」
隣の患者がトレーを覗き込みながら不満気に言う。
「退院の時には、お出ししますよ!」
そないやったらが言うと、隣の患者は納得したように頷いた。
「コビーさん、現場に戻っても頑張って下さい!」
「あ、ありがとうございます!あの・・・」
「はい」
そないやったらがきょとんとした顔をかしげる。
その仕草が可愛くて、コビーは思わず赤面する。
「えっと、あの、あ・・・お世話になりました」
「いえ、こちらこそありがとうございます!」
そう言うと、そないやったらは別の患者の元へワゴンを進めていく。
コビーはそないやったらが病室を出て行くまで、姿を追っていた。