第2章 会いたい
コビーはドクターの回診を受けている。
「これぐらいの傷なら、実戦に出てもいいだろ」
「退院ということですか?」
「そうだ。今日の昼にでも退院だ。なにしろ、この間の戦争で重傷者がごろごろいるからな。ベッドも足りてねえんだ。元気な奴はさっさと退院だ」
ドクターは魚の骨を噛みながら、隣の患者の診察を始めた。
(退院か・・・そうしたら、そないやったらさんに会えなくなる)
コビーがぼんやりとそないやったらのことを考えていると、「コビーさん、退院の手続きをお願いします」と、看護師に促された。
「あ、はい」
手続きの書類にサインし、荷物を取りまとめる。
「昼食の後、もう一度ドクターの回診があります。それで異常がなければ退院です」
「分かりました」