第9章 それから
「コビー、お前って・・・」
ヘルメッポは呆れた様な顔をしている。
「なあに、ヘルメッポさん?」
「いや、付き合って下さいじゃなくて、結婚して下さいかよって思って」
「僕はそないやったらさんが好きだから、ずっと一緒にいたいんだ。そのためには、結婚するのが一番だと思って」
「そうかもしれねぇけどよお・・・」
(色々、飛びすぎじゃねえか?!)
ヘルメッポは親友の行動力に改めて驚いている。
(赤犬さんの前に飛び出したかと思えば、今度は結婚かよ・・・)
「ヘルメッポさん、結婚式では友人代表としてスピーチお願いします」
コビーはニコニコしながらヘルメッポに頼む。
「ま、そういうのは得意だから任せろよ」
ヘルメッポもコビーの笑顔につられてニカッと笑った。
「あ!コビーさん、ヘルメッポさん!」
時計台の前に立っていたそないやったらが大きく手を振り、二人に呼びかける。
「そないやったらさん!」
コビーはヘルメッポを置いて、素早くそないやったらの元へと駆けていく。
「あっ!待てよコビー!」
ヘルメッポも慌てて追いかけようとしたが、「やーめた」と小さく呟いた。
視線の先では、コビーが愛しい恋人を抱えるようにして優しく口付けている。
その時、マリンフォードには、優しく穏やかな潮風が吹き渡った。
おわり