第8章 言えば伝わる
「そないやったらさん、あの・・・」
「はい」
「あの、わ、ワンピース・・・可愛いですね・・・」
「ありがとうございます!」
そないやったらが嬉しそうな顔を向けると、コビーも照れながら笑顔を見せる。
ワンピースは今日のために用意したものだ。
「コビーさん、今日は大人っぽいですね」
「本当ですか?」
「はい。ジャケット羽織ると雰囲気が違います」
「これ、ヘルメッポさんがアドバイスしてくれたんです」
二人は話しながら、夜の街を歩いていく。
灯りが溢れ、大勢の人が楽しそうに行き交っている。
「このお店です」
コビーが一軒のレストランの前で立ち止まる。
ボーイがドアを開けた。
「そないやったらさん、段差があるので」
コビーが手を差し出す。
(コビーさんは女性をエスコートするのに慣れてるんだ)と、そないやったらが意外に思ってコビーの顔を見上た。
コビーは顔を真っ赤にしている。
緊張をしているのか、手もわずかに震えている。
(ちゃんとそないやったらさんをエスコートしなきゃ!)
コビーの頭の中は、それでいっぱいだった。