第8章 言えば伝わる
「そないやったらちゃん、今日はめかしこんでるねぇ」
コビーとは病院の玄関で待ち合わせをしている。受付の男性がそないやったらに気付き、声をかけてきた。
そないやったらは恥ずかしそうに笑って返す。
「すみません、遅くなりました!」
コビーが慌てて入って来た。
「そんな、時間ピッタリですよ」
コビーは息を切らしている。
仕事上がりなので普段のジャージ姿で来ると思っていたのだが、今日のコビーは白っぽいジャケットを羽織り、いつもより大人っぽい。
そないやったらはドキドキした。
「兄ちゃん、そないやったらちゃんを宜しく頼むよ!」
受付の男性に話しかけられ、コビーは驚きながら「はいっ!」と返事をした。
「それとな、この間は大目に見たが、病院の敷地内に入る時は受付を通してくれよ」
「す、すみませんでしたっ!!」
そないやったらの声を追って、そのまま菜園に入ったのが分かられているらしい。
コビーは心から申し訳なさそうに男性に頭を下げた。
「はっは。まぁいいよ、さ、楽しんできな」
「おじさん、行ってきます!」
そないやったらが明るく言うと、受付の男性は笑顔で二人を送り出してくれた。