第7章 強くなるんだ
そないやったらの子電伝虫が鳴った。
調理場で待っている中年の女性が、戻りが遅いのを心配してかけてきたのだ。
「コビーさん、すみません。私、戻ります。手当していただいて、本当にありがとうございます。会えて嬉しかったです」
コビーは何も言わず、そないやったらの頭を撫で続けている。
「コビーさん・・・?」
コビーは腕に力を込め、きつくそないやったらを抱き締めた。
「・・・そないやったらさん、また会いに来ます」
そないやったらはそれに応えるように、コビーの背中に手を回した。
ほんのつかの間、二人は抱き締め合い、互いの身体を離した。
コビーはそないやったらを立ち上がらせ、優しく調理場へ戻るように促した。
そないやったらは何度も振り返り、コビーに手を振っていた。