第1章 マリンフォード病院食堂
「はあ・・・」
「どうしたんだよ、コビー」
見舞いに来たヘルメッポが心配そうに言う。
「ううん、なんでもないよ」
「そうかぁ?」
「うん」
コビーは時々、ギュッと目を瞑る。
「見聞色の覇気ってのは、コントロールできるまでは大変そうだな」
「そうだね、早くガープ中将に教わりたいよ」
「なあ、それ使ったら誰が何考えてるのかも分かるんだよな?そしたら面白ぇよな!」
「不謹慎だよ、ヘルメッポさん」
コビーはヘルメッポをたしなめたものの、そないやったらの心の声を聞きたいという欲求を強く持つ自分がいることに気付く。
「こんなんじゃダメだ・・・」
「どうしたんだ、なんか悪いもんでも食ったのか?」
「悪いものなんかないよっ!!」
病室中に響く大声でコビーが叫ぶ。
患者達の視線が一斉にコビーに集る。
「す、すまねぇ・・・」
ヘルメッポが目を白黒させながら謝った。
「ご、ごめん!ヘルメッポさんは悪くないよ!ごめんなさいっ!」
必死に弁解するコビーを見て、ヘルメッポは困惑していた。