第4章 ヘルメッポ軍曹
「コビー」
「はい、ヘルメッポさん」
ヘルメッポはコビーをじっと見つめる。
「なーんか、俺に隠してねえか~?」
ヘルメッポはサングラスを頭上にずらしながら、睨むようにコビーを見る。
「何も隠してないよ」
「ほーんと~?」
「どうして?」
「さっき、どこ行ってたんだ?」
コビーの顔が途端に赤くなる。
「なんかやましい所~?」
「やましくなんかないですっ」
今度はコビーがヘルメッポを睨みつける。
「じゃあ昨日、仕事上がってからどこ行ってたんだ?」
昨日は、定期船へオルゴールを探しに行っていた。
「別に、仕事上がってからのプライベートな時間を、いちいちヘルメッポさんに報告しなくてもいいでしょ」
「今日は勤務中じゃないんですかー?」
「今日は1時間だけ有給をいただいたんです」
ヘルメッポはムスッとした顔をすると、「俺、訓練室行ってくるわ」と言い、立ち上がった。
「あ、鍛錬するなら僕も行くよ」
「お前は来なくていいよ」
「なんで?二人で鍛錬した方が上達も早くなるよ」
ヘルメッポは苦虫を噛み潰した様な顔になっている。
「お、れ、は!ひ、と、り、で!や、り、た、い、の!」
声を荒げて、ヘルメッポは部屋を出て行った。
「変なヘルメッポさん」
コビーもムスッとした顔をしながら、手元の書類に目を落とした。