第3章 ささやかな
「コビーさん、私、このオルゴール宝物にします!」
「・・・!!」
コビーはあまりの嬉しさに声が出ない。
もう、全身が真っ赤だ。
「コビーさん?」
「ひゃいっ!」
思わず声が裏返る。
「ゴホゴホ!」
わざと咳でごまかそうとするコビー。
そないやったらは不思議そうな顔で見ている。
「あ、えーと・・・僕、行きます」
「もう、行ってしまうんですか?」
そないやったらが寂しそうにする。
そんなそないやったらを見て、コビーは言葉に詰まってしまう。
本当はコビーもずっとそないやったらと一緒にいたい。
けれども、海兵として、軍曹として、自分の職責を全うするためにはこれ以上そないやったらと喋っている訳にはいかない。
「コビーさん、お忙しいんですよね」
「そないやったらさん、僕、また来ます!」
そう言った後に、急にコビーは不安げな表情になる。
「あの、来てもいいですか・・・?」
「もちろんです!来て下さい!実は、今日辛いことがあって・・・でも、コビーさんが来てくれたので救われたんです」
その言葉に、コビーはそないやったらを抱きしめたい衝動に駆られた。
しかし、それをグッと堪えると、
「そないやったらさん、僕で良ければいつでも来ます。辛いことがあったら、僕のことを頭に思い浮かべて下さい。それだけで、僕はそないやったらさんの元にすぐに駆けつけます」
コビーは自分で、こんな台詞をスラスラ言えた自分に驚いた。
「コビーさん・・・嬉しいです!じゃあ、毎日思い浮かべます」
そないやったらはすっかり笑顔になっている。
「ま、毎日・・・!なんとかします!」
「冗談ですよ、コビーさんマジメですね」
コビーとそないやったらは二人で笑い合った。