第3章 ささやかな
「それで、こうしてそないやったらさんに会いに来れたんです」
「そうなんですね。ガープ中将もつる中将も、お優しいですね」
「はい、お二人とも群を抜いてお強いし、優しくて素晴らしい方達です!」
コビーとそないやったらは菜園のベンチに腰掛けて話している。
急に会話が途切れた。
そないやったらが話題を探していると、コビーがポケットから小さい箱を取り出した。
「そないやったらさん、これを受け取ってくれますか」
真剣な顔付きでコビーが差し出す。
「はい・・・あの、いただいていいんですか?」
「是非、受け取って下さい」
「ありがとうございます」
そないやったらはリボンをほどき、静かに箱を開けた。
「あ!」
中には木で作られたオルゴールが入っていた。
「可愛い!ありがとうございます!」
早速、オルゴールを奏でてみる。
柔らかなメロディーが流れる。
「素敵・・・コビーさん、私、嬉しいです」
「良かった!僕、女性にプレゼントをしたことがなくて。何を差し上げたらいいか迷ったんですが」
コビーはマリンフォードへの定期船が届ける品の中から、一生懸命探したらしい。
「たしぎ少尉に伺ったら、僕がそないやったらさんに相応しいと思う物を贈るのが良いと教えていただいたので・・・」
「私、オルゴール好きです!本当に嬉しい!」
そないやったらに何度も嬉しいと言われ、コビーはホッとした表情をしつつ、ニヤニヤしていた。
(ダメだダメだ、ニヤニヤしちゃ。うわー!)
コビーは顔のニヤつきを抑えようと必死になっている。