第3章 カラスとネコと
「あっ!そうだ、音駒のマネージャーさんてどこにいる?挨拶したいなっ」
「あ、それは…「いねーよ」
突如頭上から低い声が降ってきて、
美月は固まる。
ゆっくり後ろを振り返ると、
「よう」
至近距離で目が合ったのは黒尾だった。
「ひゃぁあっ」
飛び跳ねるようにして研磨の後ろに回り、
黒尾と距離をとる。
彼とは研磨同様、昨日合宿所への帰り道で偶然出会ったが、
その時の印象もあり美月にとって苦手な分類の人物だ。
ぎゅっと研磨のジャージを掴むと、さすがに研磨が
「ちょっと美月…」と困った声をあげた。
しかし、手に入れた盾を離す気はない。
「びっ、びびびびっくりしましたっ!」
「ぶっ。ははっ、悪いなー。知った顔見つけたから嬉しくなっちまって」
ケラケラと笑われ、美月は眉間にしわを寄せる。
(うっ…、それは私も研磨見つけた時そうだったけど…)
「…さっきの話、マネージャーさんいないんですか?」