第3章 カラスとネコと
「研磨っ!」
「…あ、美月」
また会えたことも、名前を覚えていてくれたことも嬉しくて
美月は研磨の元へ駆け寄った。
途中、モヒカン頭の横を通り過ぎる際に「はっ…良い匂い…っ」なんて呟かれたが
気付いていない。
「また会えるって分かってたけど、なんか嬉しい!」
「え、そう…?」
「うんっ!あのね、昨日教えてもらったゲームやっててね…」
初対面であるはずの2人が仲良く話している。
その事実もさることながら、花のような笑顔で話す美月の様子。
烏野は勿論、音駒も思わずその場で固まっていた。
「え?なんで美月が研磨と仲良しなの?」
「俺が知るかボゲ」
キョトンとした日向の問いかけは影山に一蹴される。
そんな周りのざわざわも、当人は研磨との会話に夢中で聞こえていないようだった。