第4章 インターハイ、秘密の応援策
(もしかして、今日1人離れてた私を気遣ってくれてる…?)
確かに試合中、皆と離れ離れでチームの輪に入れず、
寂しいと感じてしまうことがあった。
そんな時は西谷にもらったタオルを握りしめて耐えたわけだが…
それがばれてしまって、気にしてくれているのでは。
心が温かくなって、胸に手を当てる。
「ぽーっとしてる場合じゃないんだけど」
月島の忠告は聞こえていない。
状況を見かねた縁下が手を上げる。
「こうなったら平和的解決策、じゃんけんでどう?」
「いや、平和的解決策“キャプテンの隣”で決定」
大きな手に肩を優しく包まれたと思ったら、キャビンの中にふわっと乗せられていた。
車の外の部員たちを悠々見下ろす澤村。
「観客席から見た俺たちの試合の感想も聞きたいし、俺が隣でも良いか?」
眉尻を下げて問われれば、NOとは言えない。
「はっ、はい…っ!こちらこそお隣失礼しますっ」
美月の返事に澤村は「よかった」とにっこり笑った。
「大地、それはずるい…」
「俺が隣に座りたいって言いだしたのに…」
美月本人が了承してしまったので菅原を筆頭に何も言えなくなり、
部員達は渋々、各席につくこととなった。