第2章 たった1人でのゴールデンウィーク合宿
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美月のお説教もひと段落し、
日向は彼女を部屋まで送り届けることにした。
「この廊下も怖ぇーの?」
「ううん、ここは平気!お風呂場の前までの廊下がちょっと…」
「ふーん…。暗いところに犬に背のでかい奴に…あと雷とかもだっけ?
美月って怖いもの多いよな」
指折り挙げていく日向。その横で美月は口を尖らせる。
「こっ、怖いものは怖いの!そういうのから守ってくれるのが翔ちゃんでしょ?」
目が合って、今度は日向が口を尖らせた。
「…なんか、俺のこと心配してるとか言ってたから慌てて来たけど
今の美月すごい元気な気がする」
言われて美月は歩みを止めた。
気が付けば、もう自室の前。
(そりゃ、元気にもなるよ…だって、)
「…だって、私が心配してるって聞いて駆けつけてくれた翔ちゃんは
いつもの翔ちゃんだったから」
じゃ、おやすみ!と、はにかんで部屋に入っていった美月を
日向はただただ茫然と見送り…
(はっ!?いま心臓止まった!?やっぱ最近、なんか変だぞ俺…)
頭にクエスチョンマークを浮かべながら、暗い廊下を去っていくのだった。