第2章 たった1人でのゴールデンウィーク合宿
「翔ちゃん!」
驚きのあまり思わず呼び名を叫んでしまった。
話題の当人の登場に、美月と菅原は目を丸くする。
「ご、ごめんっ!盗み聞きするとか、そういうつもりはなくてっ!
美月が心配してるって聞いたから、急いで来ちゃって!そしたら、その…」
「どこから聞いてたの?」
顔を青くして必死に説明する日向。
その言葉を切るように美月が問う。
日向はまともに美月の顔を見れない。
「美月の、トラウマの話らへん…」
申し訳なさそうに上目遣いで答えられて、美月は俯く。
表情が見えず、日向はオロオロ。
「ごっ、ごめ」
「翔ちゃんのばか!!」
菅原は初めて聞く彼女の大声にびくっと肩を揺らす。
上げられた美月の顔は、真っ赤になっていた。
「一番恥ずかしいところから聞いてるじゃんっ!ばかばかっ」
「ぅええっ!?ごめんって!聞かなかったことにするから!」
「嘘っ!絶対覚えてるもんっ」
日向は美月の怒りを抑えるため、何度も頭を下げた。