第1章 烏野高校バレー部、始まる
翔ちゃんがコートをかけぬけて思い切り飛んでる。
そこにボールがきて…
中学3年間の彼を知るせいか、その姿に無性に泣けてきたのだ。
試合は日向のチームが2セットとり、勝利となった。
「月島ぁー!」
試合が終わり、ドリンクを飲んでいた月島と山口に日向とセッターの男子が駆け寄る。
日向は月島に向かって手を差し出した。
「…なに」
「試合の最初と最後に握手すんじゃん。今日の最初はしてないけど…
それにこれからチームメイトだし…うれしくねーけど」
美月が覗く窓からほど近い場所で交わされるその会話は美月の耳にも届く。
「ッはやくしろよ!お前知らねーの?ちゃんとチームメイトの自覚を持たないと、
体育館から放り出されるんだぞ!」
「君らが体育館出禁になったのはキャプテンの注意をシカトして勝手に勝負始めた挙句、
教頭のヅラを吹っ飛ばしたからでしょう?」
「いっ…いいじゃねぇか細かいことは…」
(翔ちゃんそんなことしたの…?)
日向は無理やり握手をしようと月島に飛びつき始めた。
月島と山口はそれを辛くも避ける。
その時、
「来るな!…やめっ」
日向をかわした月島の視界に
衝撃の事実に驚愕して固まっていた美月が映った。
「あ」
「よっし!つかまえたーーっ…ん?」
手をつかむことに成功した日向が、固まる月島に異変を感じその視線を追う。
そして月島と同じものを目にした日向は
「なっ、なっ…!なんでいんのーーーーー!!!!????」
体育館中に響く声で叫んでいた。