第2章 たった1人でのゴールデンウィーク合宿
思ってもみなかったことを言われ、菅原は伸ばしていた手を引っ込めた。
乗り出していた体を席に落ちつかせる。
「急にどうした?」
「前々から思ってたんですよ!
3年生の皆さんは大人っぽくて、頼れて、安心感がすごいなぁ~と!」
きらきらした瞳で言われて菅原は一瞬怖気づくが、
「それ、東峰にも言える?」
すぐに切り返した。
美月はフリーズする。
菅原はそんな美月に耐え兼ね吹き出した。
「ぶはっ」
「ひっひどいです!
私だって、東峰さんのこと優しい人ってわかってます!
仲良くしたいって思ってるんですから!」
「え~、優しいって思ってても体が大きいとダメなんだ?」
「う…いまのところは、まだ少し…」
菅原を恨めしく睨むが、すっかり笑いのツボに入ってしまっている。
「そこまでダメになったのって、何かきっかけとかあるの?」
少し笑いがおさまったところで問われた。
聞かれた美月の脳裏に、
小さい頃に起きた“きっかけ”の出来事が映し出される。
「日向くんとばかり居たから、背の高い人に慣れないっていうのもあるんです。
でももっと分かりやすくきっかけって言ったら…」
美月の目が遠くを見つめる。
菅原はもう笑ってなく、真面目に美月の話に耳を傾けていた。