第2章 たった1人でのゴールデンウィーク合宿
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時計の音と、開いた扉の遠くからたまに聞こえる笑い声。
(翔ちゃん、まだかなぁ)
美月は食堂で一人、日向を待っていた。
手持ち無沙汰に空のカップを弄る。
5分ほど前、日向の様子がおかしかったのを不審に思い、
真意を突き止めようとしたのを影山に止められてしまった。
風呂に入っているところに話を聞きに行ったってしょうがないのだから
止めて当然だ。
『俺も風呂行くから、日向にマネージャーが心配してるって言っとく。
だからここで待ってろ』
影山にそう指示され、美月は大人しく待つことにした。
(これで喧嘩とかになったら嫌だなぁ…)
ため息は静かな食堂に響く。
「あれ?何してんの?」
気付くと開いた扉に菅原の姿。
「あっ、こんばんは」
「え?ぷっ、こんばんは」
夕飯も一緒に食べていたのに今更「こんばんは」と言われ、菅原は思わず吹いてしまった。
美月もははっと笑って返して見せるが、どうにもぎこちない。
気付いた菅原は美月の向かいの席に腰を下ろした。