第2章 たった1人でのゴールデンウィーク合宿
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一方、日向が飛び出していった後の食堂。
「なに?今の翔ちゃん…」
美月はその場に立ち尽くしていた。
「?別に、なんでもないって言ってたし普通じゃね?」
「ううん、絶対普通じゃなかった!…どうしよう。
私が構ってくる翔ちゃんに冷たくしたからかな?」
大して気にも留めず、「俺も風呂の準備しなきゃなー」とカップを片付けていた影山。
段々小さくなっていった彼女の声に振り返ると、
「!!?」
(は!?な、泣いて…!?)
棒立ちのままの彼女の瞳は今にも涙がこぼれそうなほど潤んでいた。
見慣れない光景に影山は戸惑う。
「ちょ、ちょっと待て!それは無し!」
「?無しってなにが…?」
「だ、だからその目!なんとかしろよ!」
「目…」
美月はハッとして、腕でゴシゴシと目をこする。
「って、おいバカ!そんなこすったら赤くなんだろ!」
慌てて美月の腕を掴んだ。
腕に隠れていた美月の目が露わになる。
既に赤くなってしまっていた目の周りを見て、ため息をついた。