第2章 たった1人でのゴールデンウィーク合宿
美月を守るのはいつだって日向の役目だった。
小さい頃から変わらないはず。
それなのに、今美月の隣にいるのは自分じゃない。
同い年で背が高くて、むかつくこともあるけど日向がコートに立つのに必要な存在。
「日向…?」
黙ってしまった日向を心配そうにのぞきこむ美月。
「…っ、なんでもない!俺、先に風呂行くから!」
今の自分の表情を美月に見せたくなくて、日向は踵を返した。
食堂を出て、風呂場の前まで廊下を駆ける。
やっと足を止めた日向は、廊下の真ん中にしゃがみ込んでしまった。
(なんだこれ…)
経験したことのない胸の詰まり。
なぜこんなに胸が苦しくなっているのか理解できない。
思い浮かぶのは先ほどの二人の仲の良い姿だ。
日向にはただ、
美月の一番近い場所に自分はずっと居れると思っていたのが
覆されたことだけ理解できた。